フォーキーの生まれたところ

先日、かなり遅れ馳せながら『トイ・ストーリー4』を見た。映画館で見る気はさらさらなかったため、多少の遅れは覚悟の上だが、レンタルビデオ店で借りたところ、2019年公開、すでに旧作となっており完全に時代に乗り遅れている状況であった。1・2・3は大好きだった。秀逸なおもちゃ目線、ライフサイクルとも言えるおもちゃあるある。素人目には充分3で完結できていたと思うのだが、4の制作を知った時は少々驚いた。実際に同じように思うファンも多かったみたいで、DVDに収録されている制作者の語らいにもあるように、公開前から4に対して否定的な話も多かったらしい。僕自身は4について「面白かった」とだけ伝えておこうと思う。

この後は少しネタバレの内容になるため、注意して欲しい。と言っても、作品の扱いが旧作の現在、見る意思のある人はほとんど見た後であり、該当の箇所を思い出す、そんな内容になるのかもしれないが。

主役は「フォーキー」。フォーキーの出現で物語が動き出す、4の中心的存在である。所有者であるボニーが幼稚園で作ったお手製のおもちゃであり、大のお気に入りとなる。【参考】にその姿があるが、使い捨てられた素材の再利用であり、その主たる部分は先割れスプーンでできている。確証はないが、僕はフォーキーの名前について、「先割れスプーン」→「フォーク」→「フォーキー」という発想ではないかと思っている。幼稚園や保育園では、牛乳パックやトイレットペーパーの芯など、再利用工作は定番中の定番であり、フォーキーもそんな背景の中で生まれたのである。

幼稚園の所在地はトイ・ストーリーシリーズの生まれた国、アメリカだろう。まったくもって日本ではない。日本にも幼稚園があり、再利用工作は定番であるが、フォーキーは生まれにくい土地であると思われる。

というのも、日本で同じように再利用工作をする場合、提供される素材が異なってくるはずであり、日本において先割れスプーンはメジャーな素材ではない。同じ食器の中でも、素材として提供される可能性が高いのは、「割箸」ではないだろうか。そのままでも良し、割っても良し、切っても良し、繋げても良し…。これはこれで想像の幅が大きく広がる素材であり、日本のぼに子ちゃんの手により、フォーキーではなく、日本風「フォー君」が誕生することは間違いない。

再利用工作という共通の文化の中に見える素材の違い。国や性別に縛られず無限に生み出される遊び方に翻弄される共通するおもちゃの悲哀。フォーキーもフォー君も今日まで限りなく生み出され、これからも限りなく生み出されるであろう。ゴミから生まれた作品を再びゴミに返す決心がなかなかできない親心もまた万国共通なのではなかろうか。

【参考】https://www.disney.co.jp/fc/toystory/character/forky.html

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