「TOICA」で隣の駅まで遠いかな 〜そうだ、一駅行こう。〜

数年前の話。我が子は電車が大好きだった。長い時間をプラレールで遊び、電車のパズルでひらがなを覚えるほど好きだった。時が経ち、成長するにつれて電車熱は薄れていったが、最近、一緒に電車に乗る機会があり、喜び飽きずに窓の外を見ている姿を見ると、当時の状況が目に浮かび、ぼんやりともっと長い時間電車に乗らせてあげたいと考えていた。

「長い時間電車に乗る」。これを実現するには、普通、長距離を移動する必要がある。その分、乗車賃も高くなり、そんなに頻繁には時間的にも金銭的にも難しいものである。そんなことを考えていると、テレビだったか本だったかインターネットだったか忘れてしまったが、東京では遠回りしても最短距離の運賃で乗車できるという内容があったことを思い出した。隣同士の駅でも大回りに移動すれば、乗り換えながら長い距離乗っていようが、出発駅と到着駅が一駅であれば、一駅分の乗車賃で済むのである。

名古屋(JR東海)でも同じことができないか。そう考えると熱の冷めた我が子にとってもはや不要な情報かもしれないが、少し調べてみようと思い立った。まずは、路線図【参考】の確認。東京のルールでは、一筆書きのルートでなければならない。ルートが交差する場合は、認められないとのことである。

【参考】https://railway.jr-central.co.jp/route-map/_pdf/numbering.pdf

見てみると、JR東海の路線において、一筆書きで大回りできそうな箇所は一箇所で、中央本線から東海道本線、高山本線を経由して、太多線から中央本線に戻るルートしかない。主軸として中央本線から考えると、名古屋〜多治見間の隣同士の駅を想定することになる。せっかくなので一番安い乗車賃で考えてみたいが、名古屋〜多治見間で、一駅における最安の乗車賃は150円で6パターンある。このうち、今回は、同線の中でも、地下鉄への乗り換えもでき、利用客の多い150円区間、千種〜大曽根間を取り上げる。

千種→名古屋(中央本線)ー名古屋→岐阜(東海道本線)ー岐阜→美濃太田(高山本線)ー美濃太田→多治見(太多線)ー多治見→大曽根(中央本線)

一駅を遠回りするとこのようなルートになり、4回の乗り換えがあるが、一筆書きで隣の駅に行くことが可能である。もちろん、途中下車はできず、途中で降りる場合は出発駅から下車する駅までの乗車賃を払う必要があり、150円より高くなるはずである。

次に重要なのは鉄道会社にルールとして存在しているかどうかである。東京の場合、遠回りはJR東日本の旅客営業規則第156条に規定される「大都市近郊区間」における同157条規定の「選択乗車」として可能とのことである。ルールがない場合は、不正乗車になってしまうので注意が必要である。

では、JR東海の旅客営業規則はどうだろうか。残念ながら「大都市近郊区間」のような設定は名古屋周辺にはない。乗車する距離ベースの設定が基本のようであるため、普通乗車券での遠回りはできないようである。

諦めきれずにJR東海の『ICカード乗車券運送約款』【参考】を見てみる。すると、第20条2項にTOICAのSF※の減額について「利用エリア内において最も低廉となる運賃計算経路により計算します。」と規定しており、どうやらTOICAであれば、遠回りの旅ができそうである。TOICAとはJR東海が発行するICカードのことであるが、『同約款』には、ICカードとTOICAという記載が混在しており、他のICカード(例えばSuica等)ではどうだろうかと疑問に思ったため、2020年9月21日にJR東海サービス相談室(050-3772-3910)に問い合わせたところ、対応していただいた女性によれば「前提として、遠回りに関しては会社として明言できないものの、ICカードの規定はその通りであり、相互利用できるICカードであれば第20条が適用される。」とのことだった。

【参考】https://toica.jr-central.co.jp/howto/notice-stipulation/_pdf/ic-card.pdf

※第3条(10)に「「SF」とは、ストアードフェアカードの機能によりTOICA乗車券に記録される金銭的価値をいいます。」とある。

僕自身も幼少期は、電車が大好きだった。頻繁に乗れるわけではないのでそれだけで嬉しいイベントでもあった。大人になり、就職して毎日電車に乗るようになった現在。通勤という苦痛に伴うイベントになったことと電車に慣れてしまったことから、とても長く電車に乗ろうとは思わないが、別のルートで子どもと一緒であれば少し違う感情を持てるかもしれない。

最後にこの情報は、2020年9月21日に確認した内容を元に記述している。直近では相談室に電話で確認しているので間違いないとは思うが、規約の改定等もあり得るので、注意しながら自己責任での乗車を心がけて欲しい。見えないルールが欲しくて、相談室にて本当の声を聞かせてもらいながら、走って行け、どこまでも。

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