栄光なき天才たち(ヤングジャンプ・コミックス)

概要は【参考】のWikipedia記事を読んで欲しいが、すごくオススメな漫画である。絶版しており、全話の文庫化もしておらず(一部は文庫化)、再版の予定もないようで、ヤフオクやメルカリでも全巻セット(1〜17巻)がびっくりするような金額になっている。基本的に継続するストーリーではなく、1話完結の短編が集められたコミックであり、途中の巻から読んでも問題ないのだが、どの話も面白いため、通しで読んで欲しいとも思う。基本的に不遇な天才達の伝記的な内容であるが、「そんな人がいたんだ」という忘れ去られてしまった人から、生前不遇だったものの、後世いわゆる歴史に名が刻まれた人物も描かれており、「栄光なき」の定義は様々である。僕も当然含めた「天才」でない人間にとって、どの分野であっても「天才」である者の考え方や苦悩を含めた生涯は、決して経験することのできない想像外の物語であり、どの人物もその格好良さと危うさが際立っている。以下に、特に印象に残っているエピソードを紹介したい。ネタバレに繋がる部分もあるかと思うので、これ以降を読み進めるかは各自ご判断いただければ幸いである。

1巻、エヴァリスト・ガロア

フランス人の天才数学者。「群論」の研究。決闘による負傷にて死去。

2巻、フリッツ・ハーバー

ドイツ人の物理学者。空気中の窒素からアンモニアを生成(ハーバー・ボッシュ法)。ノーベル賞受賞者。毒ガスの開発に関与。ナチス政権下のユダヤ人研究者として苦悩する。

3巻、鈴木商店

金子直吉、西村文蔵、高畑誠一等。才能と個性溢れるメンバーが盛り立て、大正の世に個人商店から身を起こし、第一次世界大戦下に成長を極める。一時的に三井財閥を凌ぐ売上を誇った総合商社の源流であるが、昭和の初めに事業停止。

6巻、平賀譲

日本人の工学者。総合的な科学知識を必要とする造船学の専門家であり、戦艦大和の設計を行う。根っからの頑固で「平賀譲」の名前から「平賀不譲(ゆずらず)」と皮肉られた。死後、東京大学に「脳」が保存されている。

14巻、ウィリアム・C・デュラント

アメリカ人。GM(ゼネラルモーターズ)の創始者。馬車商から自動車の販売に転身。自動車会社の創業者はフォードを始め技術者が多いが、デュラントは商人であり、販売に重きを置く人物であった。買収や統合などの経営手法によって規模を拡大するが、最終的には自ら築いたGMから追放される。

以上、ほんの一部を取り上げさせていただいたが、現在は、結果的に希少本になってしまっており、高額で手に入りにくいことや、ネカフェ・図書館などでも見かけないため、読むことが難しい状況になっている。伝記の定番である「栄光ある天才」も凄いが、歴史に埋もれている「栄光なき天才」も負けないくらい凄い。活字ではなく、漫画であるが故に手に取り易く、きっと子供達の心に残る「天才」がいるはずである。真面目な話、読書感想文の指定図書でもいいくらいの内容である。再版・文庫化等を期待したい。何とかならないでしょうか、集英社様。

【参考】https://ja.m.wikipedia.org/wiki/栄光なき天才たち

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