豚解体容疑の技能実習生、全員を不起訴処分に 前橋地検 (朝日新聞DIGITAL 2020.11.18)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e62fa019e706dc2255ec6567732e75d0a623a41b
農家の方々の苦労して育てた作物。作物であり「商品」でもある。許し難い窃盗事件であるが、コロナ禍での技能実習生が過酷な環境にあることは多くの報道でなされているところでもある。
それでもダメなものはダメであるが、視点を変えると技能実習生の「技能」について考えさせられる事件である。実習生達は【参考】の記事によると「自動車部品関連の工場で実習」していたようである。実習中の技能にどの程度習熟しているのかわからないが、「男らは複数回にわたり豚を解体し、会員制交流サイト(SNS)に子豚を丸焼きにする様子も投稿していたという。解体に使われたとみられる牛刀などが押収されており、県警は日常的に豚を解体して食肉加工し、一部を転売していた可能性もあるとみて、入手経路や他に関与した人物の有無などについて調べている。」とあり、屠畜の技術はかなりの習熟度である。この実習生の発揮した実習の本筋とは関係のない「技能」。母国でどの程度経験していたのかわからないが、こと日本においてこの「技能」を持っている人は、なかなかいないのではないだろうか。少なくとも自分の家族はもちろん友人知人を含めてもこの「技能」を持っている人は見当たらない。
不起訴の理由はわからないが、正式な手続きを踏めば立派な「技能者」である。「自動車部品関連の工場」の実習では、発揮されることはないかと思うが…。「技能実習生」、「自動車部品の工場」、「被害にあった農家の方」。三者ともにコロナ禍さえなければ上手くいっていたのかもしれない。コロナ禍が炙り出した不幸なミスマッチ。「技能」を求めて来日し、異なる「技能」を発揮することが過ちとなる。これ以上、優秀な「技能」があらぬ方面で発揮されないように、1日でも早いコロナの終息が望まれる。