東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)の「宣言」三国志

本日、愛知県において独自の「緊急事態宣言」が発出された。ネット上のコメントは賛否入り乱れているが、実際にどの程度の効果を発揮するのかわからないのが正直なところである。一方で、少し気になる点がある。それは、岐阜県・三重県も含めて、なぜこの東海地方だけで声高に宣言がなされるのだろうか。感染者が増加しているのは、この地方だけではなく全国的な傾向であり、特別他の地方と比べて感染率が高いわけでもない。内容も政府の発言や分科会の提言に比べると少し厳しい「自粛」の要請であるかもしれないが、「お願いベース」であり、強い口調での「中止」の要請といったわけではない。

実際に隣接する県で連携していることは間違いなく、そういった意味では、この地方の気質であるのかもしれないし、首長達の性格かもしれない。ただ、内容を見てみるとそれぞれの自治体が県民に対する説明において他県への責任転嫁合戦の様相を呈している。「宣言」の発出は岐阜県、三重県、愛知県という順番である。まず、最初の「宣言」は、岐阜県である。「緊急対策」として県民に向けて「愛知県、特に名古屋での酒類を伴う飲食の回避」と名指しで強調を行なっている。おそらく、県内の感染データを精査した証拠に基づく記載であるとは思うが、「(岐阜)県内の酒類を伴う飲食は全く問題ありません。」と言いたげだと感じるのは僕だけであろうか。次の「宣言」は三重県。岐阜県ほどあからさまではないものの、「県外のそうしたエリアとの…往来の自粛」、「県内の繁華街における…利用を控えること」とある。県外の「自粛」と県内の「控えること」。明記されていないが、「県外のそうしたエリア」は、県民の県外の勤務先を考えれば明らかであり、愛知県を想定しているはずである。県民に「県外は危険そうだけど、県内であればちょっと気をつければいいのかも。」と刷り込む印象操作に感じるのは僕だけであろうか。

上記二県は抜かりない。岐阜県「(感染状況、防止対策について愛知県、名古屋市と積極的に情報共有)」、三重県「(3)愛知県、岐阜県、名古屋市との連携」と記載し、どちらかというと被害者だけど、隣県として仲良くやってますアピールは忘れずに行う。実にしたたかな立ち居振る舞いである。間接的に槍玉に挙げられた愛知県が取るべき手段。それは、「東京を中心とする首都圏への不要不急の移動は自粛をお願いします。」という、より大きいものへのさらなる責任転嫁である。東海三県の中で全てを背負わされた愛知県。さすがに思うところがあるのか「仲良しアピール」はしていない。「宣言」したのか、せざるを得なかったのか。もしかしたら、辛い立場だったのかもしれない。

「宣言」によって、意識が引き締まるという効果はあるだろう。内容もお盆という休暇の特殊性と新型コロナウィルスの危険性に板挟みになりながら、言葉を選んで苦心して作成している様子が目に浮かぶ。そして、「宣言」の中に「嘘」は存在しない。そこにあるのは「表現」だけである。いずれにしても「宣言」の功罪は近い未来に判明すると思われる。自治体と首長の思惑が成就し、効果を発揮していることを切に願う。「表」も「裏」も。

【参考】

【岐阜県】「第2波非常事態」

https://www.pref.gifu.lg.jp/kinkyu-juyo-joho/dai2hahijyouzitai.html

【三重県】「緊急警戒宣言」

https://www.pref.mie.lg.jp/MOVIE/l1000200176.htm

【愛知県】「緊急事態宣言」

https://www.pref.aichi.jp/site/covid19-aichi/covid19-aichi.html

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