賛否両論の台湾「神豚」祭り 出品数減少、伝統への見方に変化 (AFPBB NEWS 2020.9.13)

豚を太らせ大きさを競うという台湾のお祭り、「神豚祭り」。世の中には、本当に変わった行事が多い。タイトルにある通り内容的に「賛否両論」がくっきり分かれそうだが、伝統行事と動物愛護は本当に相性が悪いと思う。このお祭りの由来が気になるところではあるが、残念ながら調べた範囲では、詳しい内容はわからなかった。

動物を犠牲にする儀式は世界中に存在する。中華文化で言えば、大昔の春秋時代には、覇を競う諸侯が盟約を行う際に牛の耳を切り落とし、血を啜った。「牛耳を執る」すなわち「牛耳る」の語源である。諸侯同士の約束を「神」に誓うための儀式であり、おそらく根本には「生贄」という意味があるのではないだろうか。

アイヌにも有名な動物に関わる儀式がある。イオマンテ。熊送りである。こちらは、神(カムイ)の化身である熊の魂に神の国に帰ってもらうといった意味を持つ。神様に捧げる「生贄」ではなく、霊魂が神様そのものである熊をもてなし、神の国に送り届けるのである。霊魂の帰った後の熊の亡骸は、もてなされた神様からの贈物であり、毛皮を利用し、肉は食される。儀式の意味を考えると、「儀式」と「動物」に対する見方が少し違って見えてくる。

「神に対する動物」なのか、「神としての動物」なのか。どちらにしても殺生を前提としている儀式であることに変わりなく、「賛否両論」は永遠に続くであろう。ただ、殺生でありながら、信仰の要素もあり、立場によって見方が異なっていることも事実である。同じような話を聞く機会は少なくなく、よほどこの部分の相互理解は難しいのだと思う。きっと儀式や行事だけでなく、食文化などもこの延長線上に位置しているのであろう。

冒頭の「神豚祭り」の「神豚」は「神に対する豚」なのか、「神としての豚」なのか。記事だけではわからないが、我が家の食卓でも大活躍する「豚」に対する物議。行事の意味、賛否両論を含めて「(簡単に答えを)くれないの豚」ということだろうか。

【参考】

https://news.yahoo.co.jp/articles/c823614bbefdd9f6b66c70a9f86272e895924e59

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